【おもしろ路上観察/あの時ワクワク心躍らせた自動販売機】
海外における自動販売機の状況は分からないが、日本の自動販売機の種類・技術そして気配りには感心させられる。温かい麵類までが食べられるというのだから驚きだ。そんな温かい麵類などで驚いていては時代遅れと言われそうである。病院の自動販売機コーナーには飲料水自販機と並んで、むち打ち症患者が使用している固定具(頸椎固定用具)とか鎖骨固定バンドの自販機までが設置されていた。その商品の値段が2,000円~4,000円と高額で「自販機=気軽に購入」ワンコインの概念が筆者の頭から崩れてしまった。次の画像が病院の自動販売機である。
筆者の知らないところで、日常生活と結びついていると思われる自販機であるが、先日、偶然に見かけた自販機は正に「三丁目の夕日」の時代にタイムトリップしたかの錯覚を受けてしまった。
タイトルの「ワクワク心躍らせた自動販売機」で思い出深いのは「ビニ本自動販売機」である。このビニ本自販機と縁遠くなったのは、いつからだろうか。お金を投入したにもかかわらず現物が出てこないなどとは、何度経験したことやら。今回「ワクワク心躍らせた自動販売機」は『コンドーム自動販売機』である。偶然に見かけたものは、色、形が全く昔の形そのままである。最初に見た時、今では使用できなくなったにもかかわらず撤去工事が行われていないのではと思ったが、観察結果、現役の自販機と筆者は判断した。
現在(いま)ほど自販機が普及していなかった時代の半世紀前の自販機である。設置されている場所は薬局の店の前。ビニ本自販機のようなどこにでも見かけることはなかった。青春時代の筆者にとって自販機の珍しさより、販売しているモノ自体に興味があった。未だ自我の確立が出来ていなかった時でもあった為、非常に危険な自販機でもあったと言える。
半世紀以上も前と言えば,1964年の東京オリンピックの時期だ。今でも堂々と街中の薬局店舗前で案山子みたいに一本足で立っていた。存在していること自体驚きである。さて、現役の自販機であると判断出来た理由は、100円と500円硬貨の使用になっていることだ。500円の発行開始は1982年。東京オリンピックから18年後である。500円硬貨対応に改造され製造された自販機であると思われる。次に、販売されている商品を確認してみることにする。
コンドームと言えば,よく聞く会社はオカモト・相模ゴム・不二ラテックスであるが、この自販機の商品は「不二ラテックス」で価格も700円。現在の商品と思って間違いない。今ドラックストアでは、2箱~3箱まとめて1,000円レベルの叩き売りお買い得商品となっている。700円という価格帯は高級品の部類に当たるのではないだろうか。
懐古趣味の筆者にとっては、涙モノの自販機であった。今でも正常に稼働しているのか?店の店主が看板を兼ねて設置しているだけなのかは不明である。テストで700円を投入してみれば確認出来たが、この年齢でも気の弱い恥ずかしがり屋の筆者はコインを投入することが出来なかった。
お洒落なコンドーム自販機が存在していた。ネットでの情報である。
東北地方の地味とも思える自販機とは大違いである。飲料水自販機と同じように目立つ場所に設置されているが、コンドームが、こんなにラフな販売をしても良いのだろうか?腰が軽すぎるのではないだろうか?コンドームは薬局での取扱製品だ。きちんと店内の商品であるからこそ安心して購入できるのである。それに加えてラブホテルのコンドームも安心感はある。安心・安全・極薄の三拍子が揃って気分高揚というものである。
薬局の前に設置されている自販機でさえ一抹の不安があると言うのに「0.02㎜」の強調PRで一般飲料水自販機と一緒に並んで販売されているのは信用できない。設置に関して明確な規制はないのか調べてみると、医療用具販売業と設置場所の届出くらいで、どうも曖昧である。昭和47年に厚生省から知事に通達文が出されているくらいの資料で他に見当たらない。内容はと言うと「ゴム製品であるため外部に設置された自販機内部が長時間の太陽光により高温状態にならないように注意すること、薬事法の問題以外に青少年健全育成の見地からの配慮が必要」くらいである。何とも気の抜けた知事への通達文であり、正に当時の厚生省とコンドーム製造会社・自販機製造会社の料亭での食事会の場で決められた感じである。二次会は、高級ソープランドというところかも知れない。
通販で何でも購入出来る時代になった現在(いま)、ビニ本自販機のような昔ワクワク心躍らせた自販機は無くなった。今回街中で見かけたコンドーム自販機も終焉が近そうである。自販機中身のワクワク感よりも、自販機そのものの懐かしさにワクワクしてしまったところが大きかった今回である。
『近藤夢』の当て字を、郊外の「大人のおもちゃ屋」の看板で見た。薬局の自販機からの購入とは異なり、直接店内で使用説明を聞かないと購入できない商品なのかもしれない。
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