【本はどう読むか/清水幾太郎から学ぶ】

2020-12-02

 ゴルフの練習でよく「開眼した」とか「目から鱗が落ちた」などと、希望の悟りを開いた時に使用することがある。でも、大体は気のせいでその時一瞬の出来事で本当は何も変わってはいないのが一般的である。
 手元に1冊の本がある。清水幾太郎著『本をどうよむか』(講談社現代新書)である。
「目から鱗が落ちた」。ゴルフの時とは異なりホンマモンである。

「目から鱗が落ちた」のは、電子書籍の「kindle」と本の併用読書について迷っていた時だったからである。これからも「kindle」を使用してゆく上での検討をしていた時だったので、この『本をどう読むか』に出会ったことは幸運であった。筆者の読書に関連する「道しるべ」となった部分をジャンル別に整理することにした。単なる、抜粋した内容(メモ)であるが、皆さまの読書にも何かしらヒントになるものがあれば幸いと思い発信することにした。
読書の種類
■実用書
 読まねばならなくなったら読む。広い意味で生活の必要を満たす本。
■娯楽書
 読みたくなったら読む。生活から逃げるために読む本。
■教養書
 自分の生活を高めよう、豊かにしようと決心し、その為 に努力する人達のためにだけある本。

忘れない工夫
■800字以内の感想文を書くこと。その意味は、書物に書かれていることを書き写す客観主義的方法ではなく、主観主義の方法で進めること。それは、人間が本に読まれる段階から人間が本を読む段階への発展である。その感想文は自分だけでなく、他人にも理解されるような文章でなければならない。その意味は、表現の努力をして初めて本当に理解することができる。下手でも良い、自分の文 章で表現した時、心の底に理解が生まれる。

本とどうつきあうか
■読み始め或いは途中で面白くないものはキッパリやめること
■著者の主張がよく判り、読み進む必要がなくなる時は読まなくてもよい
■最後のページまで読む必要はない。1ページにしろ、1行にしろ、それが著者と読者との双方にとって全く同じ意味を持つなどというのはない。1行でも1語でも、ハッとするところがあったら、読者としては大儲け。

気になる本はまず買うこと
■日本における出版事情(出版されて売れなければ、出版元へ戻されて裁断されてしまう)があるから、地上から消えないうちに買う必要がある。買ったら直ぐ読まねばならぬとか、直ぐ読む本だけを買うとか思わぬこと。もともと、教養書は読んでもいい読まなくてもよい本なのであるから。

読書のスピード
■一語一句を噛みしめて読むのも度が過ぎると書物の理解を妨げる。作家は相当のスピードで書いているようだ。読者もその流れに乗って読むことが大事。