【アクセルとブレーキを踏み間違える交通事故の真実】

 老人による車の事故に多いのは、高速道路での逆走、走行中に意識を失う、そしてアクセルとブレーキを踏み間違えることによることがあげられる。その中で、気になるアクセルとブレーキを踏み間違える事故についての意味が長いこと理解出来なかった。最近になって「もしかしたら」と思えることを想像した。あくまでも筆者の色眼鏡である。

 事故を起こすのは、大体がトヨタの大衆車プリウスと高級車のレクサスに多い。初め、トヨタ車に何か欠陥があるのではないかと思っていたが市場に出回っている台数が多ければ確率から当然であり、特に欠陥を疑うこともなさそうだ。車に問題があるのではないとしたら、老人そのヒトによるものしかない。

 それにしても、アクセルとブレーキを踏み間違えることって、有り得るのだろうか。いくら老人で、時にボケるからと言って考えられないことである。

 筆者が考える事故の原因
【その 1】 前進時は「アクセル」を踏み続け、停止時は「ブレーキ」を踏む。前進・停止とも『右足』による動作である。停止させたい時の一連の動作に間違いがあるとすれば、ブレーキペダルを踏むつもりが、再びアクセルペダルを踏んで(二度踏み)しまったことになる。頭(脳)では、ブレーキペダルを踏んだつもりと言うことである。

 それは、通常踏み間違えとは言わない。ブレーキペダルを「踏んだつもり」とかブレーキペダルまで「足が移動できなかった・動かなかった」と言う表現が正しい。ペダルの踏み間違いではなく、自分では意識していても身体が反応できなかったと言うべきである。身体能力・機能の衰えが事故の原因と言っても良いのではないだろうか。
 どうしても、「踏み間違え」にしたければ、運転教習所での習得が未だ出来ていないと言うことになってしまう。無免許運転と一緒である。

【その 2】 現在は車の操作が簡単になり過ぎた。昔に免許取得のために通った教習所での練習車は、オートマチック車は無く全てレシプロタイプであった。クラッチペダルを踏んでスピードに合わせて適正なギアへのチェンジを行う。後退の時は、やはりクラッチペダルを踏んで後退ギアへのチェンジ切り替えを行う。

 今になって思い出すと、如何にエンストしないでスタートさせ、徐々にスムーズに速度を上げて走行するかの練習だったような気がする。走行時の練習ポイントは『クラッチ操作』によるギアチェンジであったような気がする。

 よくも、あんな複雑な操作が無意識に行うことができるようになるものだ。何でもそうであるが、練習・訓練により一度身に付いた事は脳が覚えるのだろう。いかに反復練習が重要かである。 

 オートマチック車が普通になった現在、ギアチェンジのためにクラッチペダルの操作は必要なくなった。踏み間違え事故の原因は、この「クラッチペダル」が無くなったことにあるのではないかと思える。「クラッチペダル」の操作が必要無くなったことで右足でアクセルペダルを、左足でブレーキペダルを操作しているのではないだろうか。アブノーマルな操作体勢に加え、老人特有の判断力の無さの為に、信じられない事が発生してしまっているのかも知れない。

 F1とかインディ500などの「レース」では、走行中如何にスピードを落とさないために、カーブなどではアクセルとブレーキペダルを同時に踏み込んだり、更にはシフトダウンでは、エンジン回転数をおとさないために、ダブルクラッチと呼ばれるテクニックが用いられている。

 老人も、時として両足を使ってF1レーサーの、そのような操作に似た動作を無意識におこなっているのかも知れない。