【コゲの美学】

「焦げ」に対しては、少々こだわりを持っている。「焦げ」の度合いがイメージ通りだと凄くうれしくなる。「焦げ」を意識し出したのは小学生の時に母親が握ってくれた味噌焼きおにぎり・醬油焼きおにぎりであった様な気がする。それまでも、焦げた食べ物はいくつもあったのだろうけれども、焼きすぎなどによる失敗したものであった。味噌焼きおにぎり、醬油焼きおにぎりだけは、正当な出来上がりの「焦げ」であった。

今だからこそ、便利な調理器具があり、意識的に焦げを作れる様になった。昔は、焦げることは、不注意からできることが殆どだった。気が付けば大騒ぎというやつである。ご飯の水加減、魚の焼き過ぎ、などなど。

文明の利器で焦げが作れると言っても、自分好みの焦げ具合を作るとなると難しいものである。長年使用していたオーブントースターのタイマー故障で、買い替えることになった。筆者の場合、オーブントースターは朝食のパン焼きが主で、他の利用はそれ程あるわけではない。が、何年かぶりでの買い替えでもあり商品の比較検討をすることにした。

最近のオーブントースターも高級感が漂う商品が多いことに驚いた。更にはメーカー、商品が多すぎ選択に迷ってしまった。一番の驚きは、石油ストーブでお馴染みの「アラジン」がオーブントースターを販売していたことである。確かに、レトロ調のデザインも良く購買意欲がそそられたが、値段も素晴らしく諦めた。

検討の末、高くもなく安くもない商品で「Panasonic」に決めた。それでも、利用頻度からしてみれば高い買い物であった。それはさて置き、「焦げ」の作り具合についての報告。

取扱説明書によると、トースト1~2枚は『予熱の必要は無く、2分程度が目安』とある。実際に使用してみると焦げ過ぎであった。確かに、外側は焦げていても内部はふんわり状態であるが、焦げ具合が汚い。問題は、タイマー設定ダイヤルに在りそうである。余りにもダイヤル目盛り間隔が小さすぎ、1分とか30秒のアナログ設定は出来そうもない。所詮、無理と言うものである。

如何に美しい焦げ具合を作るかテストを重ねること1週間。自分なりのタイマー設定を見つけた。最初にヒーターを温めておくことがポイントで、そこからの焼き時間を1分30秒程度にダイヤル目盛りを合わせることである。予熱時間を考えないダイヤル(タイマー)合わせを行うことで焦げのバラツキは少なくなった。

たかが一枚のトースト。されど、その焼き加減がもたらす朝食の満足感は、一日のスタートとしては大きい。

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