【夏の高校野球甲子園!オヤジの指定席を返してんか】

一度気にし出すと、どうしても視線がそちらに行ってしまう。視線の先とは、高校夏の甲子園テレビ中継画面のバックネット裏である。

バックネット裏の座席に野球のユニフォームを着た小学生と思われる集団が陣取っている。昔は、ジリジリした太陽のもと朝から試合終了まで、ランニングシャツ・短パン・麦わら帽子にうちわ姿のオヤジさんたちが陣取っていた。いつから子供たちの風景に変わったのだろうか。コロナ禍が落ち着いた、昨年くらいの気がするのだが、ハッキリした記憶はない。

誰が名付けたのか?甲子園大会バックネット裏の前列エリアを『ドリームシート』と呼ぶらしい。ドリームの意味を知った時、朝日新聞と高野連の意図が何となく見えてきた。そこにNHKも加わっているかも。

丸坊主の高校生が全力でグランドを走り回り、泣いたり笑ったりする青春の姿を、特別指定席から観戦する。『将来は地方の代表校として是非、甲子園に来て下さい。ドラフトでプロの道も夢じゃないのです』と子供たちを招待しているとのこと。

画面に招待される子供たちを見ていると、元気がない。退屈そうである。知らない県の高校のお兄ちゃん達の試合を観戦しても面白くないのかも知れない。招待する子供野球チームの選別も全く分からない。何となく怪しい雰囲気を感じる。

宝塚歌劇団と一緒で、清く・正しく・美しくを甲子園でも同じように、全国に広めているに過ぎない。アルプス席応援風景とインタビューも、どこも一緒の受け答えで演出くさい。更には、応援ブラスバンドの曲目も一緒。そういえば、昔のPL学園は強かった上にヒト文字応援は凄かったことを思い出した。

9回裏の最後のバッターは、決まって1塁ベースにヘッドスライディングをしてゲームが終了するという儀式。この清く美しい甲子園に、ランニングシャツに麦わら帽子のオヤジは邪魔であるというのが結論らしい。TV画面から消えてしまった。

オヤジたちと一緒に、他にも消したいものがあったに違いない。裏の甲子園だ。強豪校の暴力事件による県大会の辞退。更には、監督の不倫発覚などなど。優勝校を予想する賭けだけが、オヤジたちに残された楽しみかも知れない。全て、夢じゃ夢じゃ。ドリームシートじゃ。

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