【もう少し知りたい「ポツンと一軒家」の本当の生活】

朝日放送テレビ『ポツンと一軒家』は、所ジョージが司会を務める番組で、日本各地の人里離れた場所の一軒家を訪ね、どんな人物が住んでいるのか。どんな理由で暮らしているのか。そこで暮らす人物の人間性などを浮き彫りにする内容の番組である。

衛星写真から目標の一軒家を探すわけであるが、毎週見ていて大体共通していることは、その一軒家に住んでいる住民は、年寄りで綺麗好き・几帳面な性格の持ち主であることが多い。そして、山の中から下界に降りて生活することなど全く考えていない人達ばかりである。

最近憧れの田舎暮らしで移住するヒトが結構いるが、この様な生活を見て素朴な生活に憧れるのかも知れない。良い悪いは別にして、煩わしい近所付き合いをしなくてもよい自由な世界である。

「ポツンと一軒家」であるから、当然、町から離れた山奥の一軒家である。別荘とか趣味的に自力で家を建てた場合を除いては、遠い昔の訳ありで先祖様が住み、それ以来何代か続いているヒトが多い。番組は、日常生活の中身を事細かに教えてくれる。苦を苦とも感じさせず、明るく生活をしているのを見ていると、筆者の生活が如何に堕落したものかを知らされる。不便を不便と感じさせない生活に感心させられる。そして、元気を貰う。

さて、番組を見るたび思うことがある。本当はもう少し、ドロドロした苦労した生活があるのではないのか。と。
知りたい部分が見えないと、番組の内容にも飽きるしまた、生活に矛盾を感じてしまう。

いつの番組だったか、山里から自宅までは車は使えず、車は山の下に置いて、2㎞ほど山道を歩かなければならない老人一人暮らしの一軒家の話であった。歩く道も自分で切り開き、常に補修しているとのこと。

そうなると、いつもの如く視聴者は生活の「インフラ」「食料調達」が凄く気になる。そこは番組制作側の十八番。事細かに紹介していく。電話、電気は問題なし。テレビなどは大型液晶。水道は無いが山の湧き水を利用している。ガスはボンベで、日常生活には困らない様子である。おまけに、晩酌の料理風景まで編集している。どうやら、食料買い出しも問題なさそうである。

筆者の疑問は、この時起きる。矛盾がある。今回は「ガスボンベ」である。この「ガスボンベ」はどんな方法で運ぶのだろうかと思った。老人一人では山の上までは持ち上げられるはずがない。業者が、2㎞の山道を人力で運ぶのであろうか。まさか、ヘリコプターを利用するわけではあるまい。

決して重箱の隅をつついているのではない。単純な疑問だ。今回は「ガスボンベ」であったが、毎回ふとした場面で疑問が起きる。筆者からしたら、現実問題としてもう一本踏み込んだ説明が欲しいと、いつも思う。

視聴者に生きるエネルギーを与えることが出来れば、番組制作は8割成功。それ以外は、やんわりとボカシを入れて軽く流しているのだろう。自給自足で無駄使いしない生活には頭が下がるが、「生活費」はどうしているんだろう。などと思うこともある。

財産の広大な山を持ち木材収入がある。とか、年金額が高額であるなどの、現実的な話があると疑問も解け、更に面白さが増しそうである。繰り返しになるが、常に綺麗すぎると「美人」と一緒にいると飽きてしまうのと同じである。

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