【ソニー ウォークマンで聴いたあのカセットテープが】

まるでタイムカプセルを開けた思い出であった。クッキーの缶2缶の中に、40年前に録音したお気に入り音楽のカセットテープが入っていたからだ。当時カセットテープの出現は画期的なものであった。録音・再生の便利さだけではなく、音楽そのものを「ソニー ウォークマン」は家の中から外へ持ち出せたからだ。今なら当たり前であるが、当時は散歩しながら、電車で移動しながら音楽を聴くことは、コロナ禍における新しい生活様式と同じようにそれまでの生活を一変させた。その走りの「ソニー ウォークマン」のために録音した音楽カセットテープが突然見つかったのである。

再生機のウォークマンは神隠しにあい見当たらない。もし、ウォークマンが手元にあったとしても今の時代、カセットテープで音楽を聴くようなことはしないと思う。ウォークマンは存在しないけれど、カセットテープに録音した音楽は聴くことができる。サブ的に使用しているコンパクトオーディオ装置『SONY CMT-M700DVD』で再生可能なのである。この装置は優れもので、カセットテープ・CD・MDの何でもござれ。

クッキーの缶の中には、カセットテープ20本ほど入っていた。試しにその中の一本を聴いてみると、全く問題なく再生された。感激であった。

「ウォークマン」が発売されたのは、1979年7月。再生機のテープレコーダーサイズが、カセットテープサイズと同等になったのだから驚きであった。このオーディオカセット型ウォークマンは、デジタルオーディオの方向になる2000年まで20年間生き延びたというのだから、ソニーの発想と技術力には感心してしまう。

最近、アナログレコード盤が話題になっている。❝硬い❞とか❝柔らかい❞などの表現で音質が語られているが、音質以上にアナログ音は『生活(哀愁)』が感じられるからレコード盤が注目されているのではないだろうか。

タイムスリップしたカセットテープを再生すると「あの 素晴らしい愛をもう一度♪」の初恋を思い出してしまう。結局「そこには ただ風が吹いているだけ♪」の失恋があった。