【日本名門酒会】

2020-01-24

 日本名門酒会は、年に一度10月に東京で開催されている名門酒祭りである。またの名を「日本酒天国 東京大試飲会」と呼ばれている。全国の蔵元はブース(出店)を設け、自慢の酒をPRする絶好の場であり、試飲する側は、有名な全国の酒を飲めるとあって、まさに天国と化するわけである。
 毎日、暑い暑いと言っては冷えたビールを飲んでいた夏も過ぎて9月も下旬。熱燗が恋しい季節となった。今回は、日本酒に関するお話である。

利き酒用「お猪口」
 名門酒会に出席した時の記念品として毎年貰うのが利き酒用の「お猪口」である。珍しい磁器の高価なものではないが、開催された年が分かる思い出の品となる。
何個か手元にあるが、一番のお気に入りは2011年の「お猪口」である。お宝にもなっている。

 利き酒用の白地に青い二重丸を眺めながら飲むのが何とも言えない。大吟醸とか吟醸とか利き酒をするわけではないが雰囲気である。最近はガラス製品で二重丸が描かれた物の出ているが、それで飲みたいとは思わない。何事も雰囲気を楽しむ晩酌だ。

白地に二重丸の意味
 香り・辛さ・酸味などから酒の品質や味の良し悪しを判定する事を利き酒と言う。
その時に使用するのが、白地に二重丸(蛇の目)が描かれた磁器のお猪口である。
蛇の目の白い部分で、酒の透明度や輝きを見て、青い部分で光沢や濃淡を見るらしい。
 筆者は、日本酒の味わいを言葉で上手いこと表現することが出来ない。単に、甘口か辛口か程度の感覚であるため、二重丸は必要ないのかも知れない。

頑張ろう東北
 このお猪口を見る度に、3月11日に震災の被害を受けたにも拘わらずアルコールを飲み続けた日々が忘れられない。幸いにも、筆者の住む地域はそれほどの被害は受けなかった。と言っても生活に必要な電気・ガス・水道の供給停止には泣かされた。寝起きの出来る家が大丈夫だったことが何よりの救いであった。

 津波の被害を受けた海岸沿いの人々のニュースを聞くと、飲まずにはいられなかった。
仕事帰りに偶然にも営業店している酒屋を見つけて、種類、銘柄関係無く購入した記憶がある。
 昔から、災害を受けた見舞いに「一升瓶」を持参したものである。東北地方だけの風習なのだろうか。日本酒は、祝い事だけでなく陣中見舞いにも使われているところを見ると日本の文化なのかも知れない。
 
 あの時は全国から「頑張ろう東北」の声援を受けた。本当は頑張るよりも、「精一杯、思いっ切り泣きましょう」と声かけられた方が楽であった。泣きたくても泣けず涙をこらえて頑張るほうが辛いに決まっている。
 通常,何かの「願い」を掛ける場合,好きなものを断つことがある。なのに、あのような大震災の被害を受けた人々が生活を送っている時にアルコールを飲み続けるとは。と思われる方がいるはず。逆に、あの人々を思うと飲まずにはいられなかった。筆者は、アルコール依存症でも泣き上戸でもない。