【蔵書印を自分で彫る!これだけ準備すれば簡単に制作できる】

2020-12-02

不器用なことは自覚しているが、プラモデル・工作などの手作り作業が好きだ。プラモデルなどは、最後まで完成したものは逸れこそ長い人生で数えるくらいしかない。途中で投げ出してしまうことが多い。そんな筆者でも自分だけの「蔵書印」を制作することが出来た。それも、ゴム印なんかではなく石を彫った石印である。

「蔵書印」は、事務手続き用の印鑑と言うより装飾的な意味合いが強い。辞書を引いてみると、所有者や所蔵者が本や書画に捺して所有・所蔵を宣言するための印及びその印影のことである。そのことからも、事務的に使用する認め印とは次元が異なる。

アート的な意味合いが強い「蔵書印」であるからこそ、自分で彫り自分のマークとして使用したい。型としては、白文・朱文の二種類がある。白文(印刻)というのは、捺した時に文字が白く抜けているもので、朱文(陽刻)は、文字が浮き出るものである。すなわち、彫の作業としては、文字そのものを彫るやり方と文字を残して彫る二通りがある。

用具一式は「TOKYU HANDS」で取り揃えることができる。教則本『石を彫る』もHANDSのコーナーで入手できる。

冊子には参考として、常用漢字・人名用漢字が揃っている。

これが印材(石)だが、2cm×2cmくらいが扱いやすい。この石は驚くほど柔らかい。どれくらい柔らかいかというと、もし間違って彫ったとしても、サンドペーパーで削り落としもう一度彫りなおすことができるのである。

実技
①彫りたい文字を決める ②その文字をトレーシングペーパーに鉛筆で正字書きをする ③トレーシングペーパーに書いた文字を裏返しにし、印材の彫り面に擦り転写する(彫り面は事前にサンドペーパーで磨き水平にしておく)

石を彫る印刀は、この1本で十分。平頭刀と斜刀が1本で使い分けすることができる。トレーシングペーパーでの文字の写し・彫る場合の石を固定する印台が専用で準備されている。マストではないが、小型の万力があると、より一層作業がし易い。

作品の仕上げ
彫が終了したら、歯ブラシ等で石粉を取り払い、試し押しをしてみる。冒頭で記したように、事務的に使用する「印鑑」ではなく、アートとして楽しむ「蔵書印」であることから、押印文字が綺麗に出ることが目的ではない。逆に、意識的に味わいを出すことが必要である。

調整ポイントは、綺麗に削り上げた文字を意識的に傷つけることである。まるで、印刀を滑らしてしまい失敗したかのような文字にすることである。最後の仕上げは、朱文(陽刻)の文字を囲む線の彫調整である。これも意識的に直線を曲線にすることである。雰囲気が出るまで修正を繰り返し、自分で納得した時点が完成である。

朱肉(印肉)について
中国産のものは「印泥」(いんでん)と呼ばれている。この「印泥」を使用する事を進める。実際に「印泥」を使用して押印してみると、朱の色に重みを感じるのが分かる。