【偽造・偽装・模造・詐欺】

朝から晩まで「詐欺にはご注意」を耳に胼胝ができるほど聞きているが、一向に減ることがない。逆に増えているというのだから不思議な現象である。いつの時代でも、詐欺師と呼ばれるヒトは、一枚も二枚も上手である。

「偽造」「偽装」「模造」「詐欺」などの言葉は、いずれもヒトを騙す意味合いであるが、それらを成功させる行為は、他人とは異なる優れた『頭脳』と器用な『手先』の持ち主だ。木版画の世界で用いられる「復刻版」と言うものがある。原本通りに再製することである。書籍に限らず、「復刻」が当てはめられ人気を博している。その「復刻」が見ただけでは「本物」と区別出来ない場合モノがある。すでに芸術の世界であるが、意識的にだまして金儲けをしようと造られたモノ・行為は「詐欺」と呼ぶ。

筆者の場合、優れた頭脳も器用な手先も持ち合わせていないので、ヒトを騙すことは出来ない。典型的な騙される方のタイプである。

フェンダー エレキギター
ギターを人前で弾けるだけの腕前は持ち合わせていないが、自分だけの世界に浸って楽しんでいる。45歳の時にエレキギターを購入した。遅すぎる買い物ではあったが、購入するタイミングがなかった。45歳で購入したのは、単身赴任がキッカケである。時間的にも家族にも遠慮せず弾くことができる。思い立ったが吉日での購入だ。

購入時の忘れられない思い出がある。時期は12月。臨時ボーナスの小遣いで思い切って、昔からの憧れだったエレキギターを購入することにした。それ程、高価なギターは要らない。安価な初心者向けのギターとアンプの組み合わせをフェンダーで固めた。最後にギターケースを決めて、注文しようと店員に声を掛けた。

筆者「このタイプのギター、それととこれと、・・・・」
店員「承知致しました。お客様、お子さんのクリスマスプレゼントですか?」
筆者「・・・・・・・」

スーツ姿のオヤジがエレキギター一式を購入したら、クリスマスプレゼントに間違われても不思議ではない。ミュージシャンらしくジーンズにTシャツ姿にすべきだったと、後になって思った。でも、ミュージシャン姿で安物セットを購入したら、逆に恥ずかしかったかもしれない。あのスーツ姿で正解だったのだ。

フェンダー ギターアンプ

あれから25年以上が過ぎ、アンプスピーカーのカバーの一部分が風化してしまったので、いっその事スピーカーをむき出しにすることにした。

カバーを綺麗に剝ぎ取ったが、折角のエンブレムまで外すとなると寂しく、供養として残そうと思いフレームを作成し組み込むことにした。組み込むだけでは芸がないので、フレームを味わい深くヴィンテージ風の塗装にすることに挑戦してみた。ヴィンテージ風の「擬き(もどき)」であるから、模造や偽造とは全く別物である。作品の「成功」か「失敗」かの問題である。

ヴィンテージ風に仕上げる

塗装の世界の奥深さを味わった。基本のヤスリ掛けから始まって、塗料の種類である油性・水性の選択。塗り方がこれ程、手の込んだものだとは知らなかった。ヴィンテージ風味わいを出す為に、何度となく重ね塗りをするのは当たり前。わざとムラに塗る方法など、塗装店に弟子入りし習得しなければ身に付かないことが種々あることが分かった。今回は自己流として、この程度で妥協することにすることにした。

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