【和田誠のために最後につくろうした平野レミの最高の料理とは】

 昨年(2019年)の10月和田誠が83歳で亡くなった。映画監督でも活躍していた和田誠であるが、筆者はイラストレーターとしての和田誠のファンである。兎に角、作品が楽しい。面白い。だから作品集を何度見ても飽きが来ない。和田誠のユーモアセンスが作品を作り上げていると思われる。
 今では、お宝蔵書の1冊となっている『和田誠百貨店』美術出版社(1978年発行)がある。

なぜ今、和田誠?
 年末から新年にかけてのTV番組で、平野レミの料理番組を放映しているのを見て和田誠を思い出したというわけである。亡くなった時の平野レミの話で「好きなご飯をいっぱい食べさせてあげたかった」の話には目頭が熱くなってしまった。
「好きな料理をいっぱい・・・」じゃないところが、和田夫婦らしい。

 平野レミは、72歳になったとのこと。昔と変わっていない。どちらかと言えばシャンソン歌手よりも料理愛好家の方が似合っている。料理研究家と称していない、あの料理の仕方と説明に好感が持てる。

平野レミの料理番組
 平野レミの料理番組が面白くて好きだ。作り方を見ていると、自分でも簡単につくれそうな思いになってくる。そう思わせてくれるポイントは解説・説明だ。

 長かった単身赴任時代、見様見真似で料理・調理をしたが長続きしなかった。
原因は、料理の本を読み材料を準備し、調味料を加えてゆくわけであるが、想像していた程の満足感が得られなかったことにある。

 平野レミの料理には、『あやふやな表現説明がない』ハッキリしている。
作り方がシンプルでダイナミックだ。調理台周囲を散らかして、せわしなく動き回る様子には笑わせてくれる。兎に角、速くシンプルが基本である。

 元々、料理の世界は表現が曖昧である。
少々・少し多めに・ぐらぐら・ドバっと・気になりだしたら・そろそろ・・・・切りがないほど感覚的としか思えない言い回し方ばかりがある。
 先ずは、気にせず作ってみて、経験することが重要であるのかもしれない。正に、料理は研究するよりも、愛好することにありそうである。

和田誠への最後の料理
「好きなご飯を食べさせてあげたかった」と話してるように、それは実現しなかったようである。もし、食べれる状態であったなら、何を準備したのだろうか。
 想像するに、手の込んだ料理は作らなかったと思う。酒を飲んだ後の感覚で、〆のご飯と味噌汁そして、「たくあん」を急いで数枚切ったのでは。
 その「たくあん」の切り方が、平野レミの料理であり、そういうことを好む和田誠のセンスのような気がしている。