【ペースメーカー不在の駆け引きマラソンは やはりおもしろい】

2020-04-03

 2019年9月15日東京地方の天候は快晴。『マラソングランドチャンピオンシップ』が開催された。それは、2020年東京オリンピックのマラソンにおけるメダル獲得のために、上位二人が五輪代表決定となる。参加者は過去の実績により男子30名、女子10名による一発勝負の選考レースであった。

ペースメーカー不在のマラソン
 今回のレースは、ペースメーカー不在の駆け引きマラソンである。筆者は、通常のマラソンでペースメーカーが先頭を走り選手達を引っ張っている現在の競技に不満を感じていたので、今回はスタート前から大いに期待をしていた。

 いつ頃からマラソンレースにおいて、ペースメーカーなる先導者が現れたのだろうか。
筆者の認識不足かも知れないが、気が付けば当たり前のものになっていた。タイム優先重視のレースとなり、42.195kmの人間模様がなくなってしまったような気がしている。
 マラソン本来の面白さが損なわれており、更には自分のチカラで戦うスポーツにおいて、他人のチカラが入り込んでいるような気がしている。

マラソンにおけるペースメーカーとは
 マラソンペースメーカーは海外では割とメジャーな存在となっている。高橋尚子が優勝したロスアンゼルスのオリンピックでは男子ペースメーカーが走っていたとは、筆者は全く気付かなかった。ペースメーカーが、なんじゃらほんじゃらと騒いでいるのは筆者だけなのかも。

 調べてみると、ペースメーカーランナーになる決まった資格などはなく、決められたスピードをひたすら守って走る能力があればよく、更に報酬は大会主催者で予算に応じて支払われているなど、意外とラフな位置付けである。
 メリットとしては、三人が横一列になり走ることで、選手達の風除けになること。そして、選手達は日頃記録更新を目指し走っているスピードで走れることで、心理的負担が少なくなるらしい。最終的には『記録更新』が目的であることには違いない。

駆け引きの薄れた42.195km
 スピードが求められる昨今のスポーツであると言っても、マラソンの場合は42.195kmの長丁場で『駆け引き』の勝負が見どころのはず。スローペースであろうとハイペースであろうと勝てば良い。相手の調子を崩して自分が優位に立てば良いのである。

 ところが、そのようなノンビリしたレース運びは出来なくなってしまった。
現在行われているマラソンは大体が世界大会出場選考レースとなっているから、順位より記録重視になっている。
 観戦している方も、レース展開より自然とTV画面に表示される3kmごとの通過地点のタイムばかり気になってしまうことになる。中継の解説者もゴール予測タイムばかり計算している。

 結局,見どころはペースメーカーが先導から外れる30km地点以降、残り12kmほどの『駆け引き』と、最後の競技場トラック残り1周のデッドヒート(ラストスパート)くらいしかない。
2時間20分のレースが、20分程度に凝縮されたようなものである。物足りなさを感じて当たり前である。駅伝の10人ごぼう抜きの走りを観戦している方が、まだ面白い。

 最近のマラソンは、海外招待選手やら何やらで日本人だけによるレースは無くなった。
当然ながら黒人選手の参加は多く、ペースメーカーも大体が黒人ランナーである。観戦していて誰が選手で誰がペースメーカーなのか、いつも見分けがつかない。ゼッケンの色が違うらしいが判別がつかない。
 ペースメーカーは、いっそのこと、パンダとかドラえもんの着ぐるみ姿で走ってくれたら分かり易いと思うのだが。

ブログ「これでいいのだ」