【エリザベス女王のミイラ化埋葬】
2022年9月8日、イギリスのエリザベス女王が亡くなられた。亡くなる数日前のニュースで、元気な姿を見ていたので「まさか!」の驚きだった。それにしても、静かで綺麗な『死に方』だったと思う。長い間車椅子生活をしたわけでも、寝たっきりのベット生活をしたわけでもなかった。
大英帝国の厳かな(おごそかな)儀式にのっとり進められたTV中継には感激・感動してしまった。そんな中、気になったのが【埋葬】だ。メディアが解説で「遺体は女王の居城だったウィンザー城内の礼拝堂に埋葬される」ことを報じていたが、通常、埋葬と言えば死体を地中に埋め葬ることである。にも拘らず、墓地ではなくウィンザー城内に埋葬すると言うことはどういう意味なのか分からなかった。
更には亡くなってから礼拝堂に埋葬までの時間が長いことである。死後早急に火葬にしないことには腐敗が進んでしまう訳で、どのような最先端の医学技術で特殊な方法が施されているのだろうかと想像してしまう。
徐々に分かったことは、ウィンザー城内の礼拝堂に埋葬される意味は、エリザベス女王のミイラ化埋葬(安置)であった。
エジプトのピラミッドから発見される事が多いミイラであるが、イギリス皇室にも似たような考えが引き継がれているのだろうか。
エンバーミング処置
肉体は通常、死後数日で腐敗が進行し白骨化する。腐敗の進んだ死体は、病原菌を有しており悪臭のする液体が漏出する。このような遺体の腐敗や変化を遅延させるため種々の対応がなされる。
主な目的は、国内外の輸送などで遺体の保冷だけでは時間を賄えない場合に行われる。遺体内に残されている飲食物・体液・血液を吸引して除去したり、消毒や薬液の注入により、更には損傷部位を修復し埋葬までの外観や衛生を長期にわたり保つのがエンバーミングである。エンバーミング処置の最大有用期間は50日間と言われている。
エリザベス女王のミイラ化
エリザベス女王の場合は、エンバーミング処置に加えて腐敗しないように処理されたオーク材製で、鉛で内張された完全密封の棺に安置されているらしい。オーク材は、特に耐水性が高くてウィスキーやワインの樽として使用されている。
ミイラのイメージはと言うと、全身包帯でぐるぐる巻きにされ棺に収められた姿であるが、エリザベス女王のミイラ化は、恐らく包帯で巻かれてはいないだろう。生前のままの姿を保って棺に収められるに違いない。エジプトのファラオと一緒で、ロマンティックな棺を想像してしまう。
ミイラ取りがミイラになる
恥ずかしながら、それ程深く考えずにこの諺を使ってきた。
人間や動物の死体が腐敗せずに原形に近い状態に保っているミイラの意味と、薬用にするための没薬(もつやく)木乃伊(みいら)と二つの言葉をもじって『薬用にするために、木乃伊を採取しに行った者が目的を果たせずに、自分がミイラになってしまう』ことが原形になっている。
他人を探しに行った人が、そのまま同じ様に探される立場になる。意見に行った者が、かえって相手と同意見になってしまうことなどの例えで使用されるが、考えれば考えるほど素晴らしい諺だと感心してしまう。木乃伊とミイラに置き換わる「モノ」は、いくら考えても他に見当たらない。
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