【黒電話のダイヤル回転音が聞きたくて少しでも長く聞けるゼロを廻す】

2020-01-26

 筆者の宝物の一つに電話機がある。
FAX・コピーまで兼ね備えた便利でお洒落な今の電話機ではない。
それは「黒電話」と言われている型のもので、時代的には昭和30年位に使用されていたものである。本体も受話器も非常に重いもので長話しには不向きである。骨董市で入手したものである。出張時や旅行時に何気なく覗いた店で手に入れて、今では7~8台になった。

沖縄ジャンク店で入手電話
そのなかの1台で、沖縄の米軍払い下げジャンク店で購入した電話機などは、車に例えるとスポーツタイプだ。車高は低くダイヤルの回転も速くスムースである。お洒落であるが、筆者としては国産の車高が高く重量感のある「黒電話」が好きである。

電話と番号表記プレート
アメリカ製は、ダイヤル回転が軽く速い。重量感の日本製黒電話とは、別の意味で快感を味わう事ができる。
ところで、当時、戦後の日本において個人で「黒電話」を所有していた家は少なく、商売をしている家でさえ所有していなかったような記憶がある。必要性から電話機を所有していたと言うより、所有していることが一つのステイタスだったのではないだろうか。そんな気がしている。

 現在でも時々、旅行先で立派な屋敷の玄関脇に電話番号を記したプレートが取り付けられているのを見かける時がある。このプレートについては後日改めて著すことにするが、サイズ、表記の仕方が全国統一されてはいない。日本電信電話株式会社の統一品ではないのである。

レトロ調「黒電話」を入手したからと言って、日常生活で使用しているわけではない。国産「黒電話」がお宝である理由には、懐古的趣味からかもしれない。時々、何気なくダイヤルを廻す。廻した時の指に伝わる抵抗感がなんとも言えない。
ダイヤルが元に戻る時の重みのある音にも、気持ちが落ち着く。いつまでも聴いていたくなる音である。だから一番長く聴ける、ダイヤルは『ゼロ』を廻してしまう。
アメリカ製のスポーツタイプは眺めるだけでダイヤルを廻すことはない。